ホーンテッドマンション草稿2「庭園のピクチャレスク」

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ホーンテッドマンションの待機列、通称「キューライン」を見ていると様々な植物があるのに気がつく。

多くはシダや柳といった欧米人から見て、「エキゾチック」と感じる植物ばかりだ。

 

ピクチャレスクという概念

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"The Chancel and Crossing of Tintern Abbey, Looking towards the East Window",J.M.W. Turner,1794

ところで、「ピクチャレスク」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

ピクチャレスクは主に美術・美学的概念としてよく用いられるものだ。

いわゆる「絵になる風景」という表現なのだけども、ただ美しい風景を表す言葉ではないのだ。

単なる美しい風景がとの違いは何か。

それは、「畏れ」と「崇高」である。

絵のように美しいがしかし、そこに軽々しく扱えない力強さや畏怖の念を抱かせる様な風景こそが「ピクチャレスク」なのだ。

ホーンテッドマンションの庭園にもピクチャレスク的な表現が散りばめられている。

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例えばこの大木はホーンテッドマンションの庭園の西側に存在するものだ。

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しかし、よく見るとその根は屋敷の石垣を恐ろしいまでに浸食しているのだ。

これは、演出のために作られたものである故に本物の自然物ではない。が、自然が人工物をいとも容易く浸食、破壊している様はなんとも不気味で力強さを感じさせはしないだろうか。

これこそがまさにピクチャレスクを表す上で欠かせない「畏怖」の概念である。

「キューライン」において大切なことは、ゲストにこれから起こる出来事を「予感」させることである。

ホーンテッドマンションにはご存知の通り、不気味なゴースト達がゲストを驚かそうと待ち構えている。

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そして、ゲストはその怪しげな雰囲気に導かれ、美しくも危険なピクチャレスクが生きた庭園に迷い込んでしまうのだ。